急須を買いに来たお客さんに、「萬古焼の急須はお茶が美味しく入ると聞きますが本当ですか」とか「何焼の急須が美味しく入りますか」など聞かれます。

私の感覚だと、萬古焼や常滑焼の急須が、表面のツルっとした磁器の急須より美味しく感じますが普段よく使い慣れているせいかもしれません。

そこで少し調べてみました。

急須の種類とお茶の味

焼き物とお茶の味

土器
(どき)
700~900℃で焼成素焼きの焼き物
吸水性が大きく脆い
縄文土器
炻器
(せっき)
1200~1300℃釉薬を掛けない
土の粒子が細かほど
低温で焼しまる
備前
常滑
萬古焼ほか
陶器
(とうき)
1100~1300℃釉薬を用いる
土と釉の収縮の違い
から貫入が入る
唐津

京焼ほか
磁器
(じき)
1250~1300℃釉薬を用いる
一般的に貫入はない
有田
瀬戸
京焼ほか

※これは四日市の急須作家山本広巳さんの著書「急須の話」より抜粋してあります。

普段、土器以外の3種類の急須を使用している山本さんは、特に味の違いを感じない、水の質や・お茶の淹れ方の影響の方が大きいと書かれています。

まさに同感です。もし、急須の違いで味が左右されるとすると、そのデザインや手触り、使い心地などの方がお茶をおいしく感じる影響が大きいと思われます。

この著書に、急須の使い方として、炻器・磁器の急須は長い間使用し続けると茶渋と匂いがしみ込むので同じ質の茶葉を使った方が味・香りには良いと思われるとあります。煎茶は煎茶用、ほうじ茶はほうじ茶用、玄米茶は玄米茶用と使い分けましょう。

萬古焼で入れたお茶はおいしい

萬古急須に使われる赤萬古土には、多くの鉄分が含まれています。強還元で焼成した際には素地の鉄分が変化して、萬古急須独特の紫褐色になり、この鉄分は、お茶の成分であるタンニンと反応し、渋味を抑える。

※これは、萬古焼磁器振興協同組合の冊子に書かれていたものです。

とありますが、上記の山本さんの著書にもありますが、最近のお茶の傾向として昔のお茶に比べ、渋味が少なくなっています。そのため萬古焼の良さを感じづらくなっているようです。